人気ブログランキング | 話題のタグを見る

青山みのりの部屋


by minorimay
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

題詠blog2013 お題一覧

001:新 新月の弥生の闇にためらいを吐き出すごとくさくら咲き初む
002:甘 甘みさえもたない水をゆらしつつつまらぬ話にあいづちをうつ
003:各 保証書の添えられずとも各々の種は一途に天を目指しぬ
004:やがて 声高にいじめ根絶をかたれどもやがて老いたる浦島太郎
005:叫 叫ばずにオトナになった功罪をあわき飛行機雲にたくして
006:券 両の目のすいよせられてはなれない金券ショップ<セイウチ>の文字
007:別 持ち重りしそうな雲が気になって別れの声を思い出せない
008:瞬 一瞬の間に込められた意味合いを解き明かすためとりあえず笑む
009:テーブル テーブルの向かいに座るそのひとの夕の波打ちぎわのしずけさ
010:賞 賞状も記憶も褪せてありえないほど西寄りの夕日が染める

011:習 ひと夏の集大成にあさがおの習字の文字に烙印を押す
012:わずか 見ず聞かず誰にも言わずかなかなの声のくぐもる森へ向かいぬ
013:極 南極へ里帰りするペンギンのようにあかるくとおいなつ空
014:更 ぼんやりと境界線がみえてきて更衣室にて自覚する自己
015:吐 取調べシーンはいつも砂めいて吐けといわれて吐くわけないし
016:仕事 生まれくる町の名前を一番にこの世にしるす仕事をしたし
017:彼 椅子ばかりふえるリビング 彼岸にはねじれた雲が西へながれる
018:闘 しあわせは闘わずしてなりえない<と金>のごとき軌跡なりけり
019:同じ ひとつにはなれないけれど手をつなぎ同じ匂いの潮風の中
020:嘆 アリたちの嘆き(僕らがあつめてもあつめてもまだ愛が足りない)

021:仲 やわらかく胃の腑をとかす酸に似る<仲良し>の語のふくみたるもの
022:梨 猫バスの近付いてくるソラミミを梨屋の梨の聞いている秋
023:不思議 開いても誰も降りないエレベーターホールにあわき影差す不思議
024:妙 はなびらを風に散らして妙齢の萩が歩道をわたる夕暮れ
025:滅 砕き溶かしまた滅すれど煩悩のひとり勝ちする試着室かな
026:期 作文に 最期 と書くと誰か死ぬ予告みたいで指が拒んだ
027:コメント ひかえめな茶トラは何のコメントも残さないまま夏を送りぬ
028:幾 ひとつしか選べぬわたし 幾たびも書き直される飛行機の雲
029:逃 逃げる陽をいわしの群れが追いかけて眠りはじめる歌集のしおり
030:財 風の手が枝にふれれば惜しみなく私財を散らしはじめる公孫樹

031:はずれ 微笑んで話せるようになりました はずれの玉ねぎ買ったこととか
032:猛 獰猛な獣をうちに棲まわせてカサブランカの花粉をはずす
033:夏 はつ恋ははつ夏に似て過ぎ去れば澄んだ水へと濾過されてゆく
034:勢 生まれたてほやほやみたいな勢いでコーラ半分天に召される
035:後悔 最終がもうすぐ出るよ 美しき夜のしない後悔しての後悔
036:少 エアコンの室外機から少しずつ愛が排出されるこの部屋
037:恨 恨みなどないはずなのにいつまでも桃の甘さが舌にまつわる
038:イエス イエスからノーのあいだを揺れつづく塩の容器をにぎりしめつつ
039:銃 鉛筆を銃にみたててアイウエオ順に正しく引き金をひく
040:誇 夕映えを誇りに伸びる雲だろう窓の明かりのふえゆく街に

041:カステラ なつかしい木漏れ日がみえかくれしてカステラ一番電話は二番
042:若 自由などないと誰もが知っていて椀の若布の透明な海
043:慣 年をとることにも慣れて雨の降りはじめの音にやさしさを聴く
044:日本 みずからをあるいはひとを殺めたる日本を見通す気象予報士
045:喋 柴刈りも洗濯もせず海へゆく 喋る車をお供につれて
046:間 万人が間違いという線ひとつ越えてやすらぐ鍋の湯豆腐
047:繋 繋がりは天地長久 野はすみれ咲き初む春のおとずれを待つ
048:アルプス その次の季節が理容アルプスの軒のしげみで待っていました
049:括 未納分一括納付してください結婚記念日期待してます
050:互 互換性の高い話題をえらびつつ笑顔の奥の地雷鳴りたり

051:般 般若にも神にもなれず片頬に斜陽をのせて帰路をたどりぬ
052:ダブル 唐突に冬の匂いの朝がきてダブルスコアで負けた気分だ
053:受 受け皿になれない僕はここにいてながれるみずをみつめるばかり
054:商 好きすぎて記憶が昇華されたのか(干物は土和商店でした)
055:駄目 駄目出しをされてもされても生えてくるセイタカアワダチソウと苛立ち
056:善 かりそめの善男善女ふえゆきて万の半澤直樹が吼える
057:衰 掃除機と薔薇と電池と衰えをわかちあいつつ暮らしてゆかむ
058:秀 秀でてはいないが普通に美しいあさがお今朝も咲きそろいたり
059:永遠 永遠に種のできないひまわりと向かい合う子のつくる結界
060:何 昨日までたしかにそこで紫陽花が何かうたっていたようですが

061:獣 行間の獣をなだめすかす間にグラスの氷溶けてゆきたり
062:氏 かぐや姫の婿となるため記入する氏名年齢その他もろもろ
063:以上 これ以上みつめあったら恋になるペットショップのガラスの向こう
064:刑 そんな顔してもムダだよゆるさない 【実刑】僕の妻になること
065:投 いつよりかこころの底にひとつしか輪のない輪投げ置かれおりたり
066:きれい 影だけが風の速さにながれゆくきれいな道の先にあるもの
067:闇 ひきだしの闇にほのかに光りたる母のいのりにふれた絵葉書
068:兄弟 兄弟のようにそびえるもみの木の歩調をゆるめさせる風みち
069:視 台風の視点でいえば四面楚歌 救いもなくて消えるほかなし
070:柿 数でいえばあの鈴生りの柿よりも穏やかな日は残されており

071:得意 履歴書の特技の欄に得意ではないが<演技>としるす革命
072:産 いましがた産み落とされた恐竜のたまごのように遠き落陽
073:史 自分史をつづる人々ふえゆきて史実にあふれかえるこの国
074:ワルツ 風を送るじぃじの右手がゆるやかなワルツをきざむ夏のゆうぐれ
075:良 ひろがればひろがるほどに居心地の良さも悪さも友とするべし
076:納 <いいひと>も年貢の納めどきですと湯気を吹きたるヤカンが叫ぶ
077:うっすら うっすらと砂めく床に鼻を寄せ 土下座しているみたいだわたし
078:師 魔術師の杖の先から色付いてここから秋がはじまるのです
079:悪 ぬばたまの我が悪行の数々を暴くごとくに白髪ふえゆく
080:修 なめらかで巧い修辞にあこがれて省みる我が日々の来し方

081:自分 いまここで自分の中のT字路を右へまがればいいひとのまま
082:柔 泣き顔も寝顔もほそく柔らかくカレーの鍋に煮込まれてゆく
083:霞 木犀の霞がかった空の色 あのひの棘はいまもぬけずに
084:左 左脳にて会議のメモを取りながら風吹く窓に猫バスを聞く
085:歯 おなじことで笑いあうのは初めてでサルビア揺れる柘植歯科の前
086:ぼんやり 要求書を暗記するころぼんやりとわかりはじめる人事の事情
087:餅 こんなにも月のうさぎの餅つきを楽しめたのは君がいたから
088:弱 キッチンで弱い魚を三枚におろすやさしい指をみていた
089:出口 あとがきを読み終わっても行く先も出口もみえぬこのもどかしさ
090:唯 唯一と無二のどちらになりたいか決められぬ冬限定のチョコ

091:鯨 きよらかな鯨を抱いているような初秋の風にシーツはためく
092:局 裏道の郵便局へ逃げ込んでATMを前にうつむく
093:ドア 流星をみあげる我と一枚のドアをへだてて泣きのギターと
094:衆 聴衆の息の間合いをはかりつつ新しき年いまにはじまる
095:例 今の世は人を信じてはいけないと白雪姫の例におそわる
096:季節 冬は雪、春はさくらのはなびらと季節を指が記憶しており
097:証 ありえない証に赤く色づいて旧仮名のごとくちりぬるかえで
098:濁 濁りこそ味だと誰かが言っていた お茶もことばも人も未来も
099:文 おそらくは<死ね>の二文字をしらぬまま陽に眠りいる茶トラの子猫
100:止 標識の止まれはあったはずなのに 夕日にゆるく責められている


by minorimay | 2013-11-07 23:44 | 題詠blog2013