青山みのりの部屋


by minorimay
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カテゴリ:短歌研究詠草( 11 )

「覚えなき」

マラソンの山場を越えてゆくように楽に記憶をなくしはじめる
なぜすがりついているのか かたくなに蔓薔薇の咲くはつなつの駅 ★
青き窓こじあけらるる雲間より小さき羊のこぼれ出でむか
可愛いとなでられて笑むれんげ草みたいにブルグミューラーを弾く ★
失くしたかどうかわからぬ日の暮れをしずめるごとくひびく鐘の音
過去形にかたれば朽ちたガーベラも闇のはなしもあわきものなり
スケジュール帳の予定は湧き水のごとくあふれぬ わたくしの字で ★

単身赴任はゲームと思え つらつらと無為にかさねてゆく経験値 ★
口に出さぬことにもなれた平日の椅子のひとつはつめたきままに
忌まれつつ消ゆる台風1号と子の成績を君につたえむ
うつしみの過敏な耳をもてあまし狭き世にふる雨のまえぶれ
「ただいま」の携帯メールはぬくもりをこぼしつつ我がもとに届きぬ ★
ひとしずくの雨かもしれず 沈黙の君のつぼみをひらく手だては ★
いずこへもゆけぬ/かえれぬたましいをはぐくむ森の空にあるらし
保険証を家にもたざる夫の飲む葛根湯の鎮座ましまし
冷凍のパックにつめたひと切れの魚がほしい花いちもんめ
なにげない暮らしの中に流れえぬ水となりたる言の葉を捨つ
今日は昨日のつづきなれども子らの背と不在の日々の伸びてゆきたり
未開封の給与明細 あきらめを絵にかくならばこんなかたちだ ★
しずもれる卓の荒野を東西にわかてる風の吹きはじめおり
わたつみを遠く聞きつつすれちがうことはわすれることと知る夜 

永遠に追いつかぬまま豊橋の路面電車は街をはしりぬ ★
病院へゆけゆくゆかむ迷う間もわずかにすすむ細き秒針
鬱病とたんなる呆けとひとしきりめぐりトマトを刻みたりけり
わたくしの壊るるほどにすこやかに真白き花をひらくペチュニア
覚えなき卵パックを手にとりて記憶の井戸の淵にたたずむ
こころにはガードレールの無きことを芝居のごとく告ぐる口元 ★
やさしさのせいだといえば熟れすぎたいちごぐつぐつ煮崩れてゆく ★
ただ一羽川面をゆけるしらさぎをみゆ。しらさぎを我はみたりき。
霧の夜はぬるき匂いにつつまれて子らの寝息を壁ごしに聞く


行明けは読みやすくするためにここで入れたものです。作品にはありません。
★印が掲載された歌です。

:・'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*:.。:*:・'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*

2006年短歌研究新人賞の最終選考に残り、
30首のうち10首が掲載された。

最終選考に残るなんて初めて♪
選者は、岡井隆、高野公彦、馬場あき子、永田和宏、石川不二子、道浦母都子の
6人の諸先生方。
最初の段階で先生ひとりあたり4作品を選び、
それがそのまま「最終選考作品」となるらしい。

いったいどなたが選んでくださったのか、気になる。

9月号のあっちをみたりこっちを開いたりしていたら
上の子に「母さん、そんなにうれしい?」と笑いながら呆れられた。
うーん、うれしいというか不思議というか信じられないというか。
やっぱりうれしいんだけど。(笑)


それにしても・・・

こうして活字になって読み返してみると
欠点をいくらでもあげつらうことができる。
これが他人の歌だったら、思いっきり言いたい放題言うだろう。

なんかすっきりしないんだよなぁ。
ああ、もう、ホントに。
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by minorimay | 2006-08-27 22:51 | 短歌研究詠草

2006年9月号

唐突な<帰るコール>に増やしたる野菜炒めのキャベツ、ため息
一膳の箸とラップをかけられたおかずの皿の冷えゆくままに
寝坊するこころづもりの土曜日の未明いつしか雨降りはじむ ★
帰るのも帰らないのも辛かろう 単身赴任の夫をまつ夜
波風をたてずに暮らすこの部屋の金魚モビールあせてゆきたり ★

★印が掲載された歌です。

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8月号から一転、2首掲載に転落。(苦笑)

7月号で「そうか~、高野さんだった~」と送る歌の方向性を変え、
今月もリアリティのある歌を送ったつもりだったのだが。

でも今、読み直してみると
1・2・4首目の歌ってかなり底の薄い歌だ。
どうして送る前の推敲の時点で、このことに気がつかないのか。
私に足りないのは「客観的な目」なのかもしれない。

あ、それと技術と知識。
つまりほとんど全部ぢゃん。(くそー)


それと今月号は村本希理子さんが準特選に入っていた。
おめでとー♪(*^^)//。・:*:・゚'★,。・:*:♪・゚'☆パチパチ
選後感想に「物のイメージを印象的に描き出す点で優れた作者である」とあって
そうそうそうそう!そうなんだよ!とうなずきながら読んだ。

希理子さんは、感覚を文字、そして比喩で表現するのがとても巧い。
しかもその比喩は読み手の心の襞をかすめる。
「突く」のではなく、「素通りする」のでもなく、
絶妙に「かすめる」のである。
これができるのって、すごくうらやましい~。


「芳一」と唱えつつ塗る日焼け止め耳朶の裏おもて隈なく/村本希理子
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by minorimay | 2006-08-27 22:14 | 短歌研究詠草

2006年8月号

読み聞かせボランティアとう名のもとに雪降らせいる春の教室 ★
大型絵本、パネルシアター、効果音 気をひくための裏道をゆく ★
泣かぬまま泣かせるために赤鬼のセリフは文字で覚えたりけり ★
仕掛けなどもたぬてのひら むうすんでひらいてのちの未来をきみに ★
カンガルーが出てくる本を何冊も飼育している夢にめざめぬ ★

★印が掲載された歌です。

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やったー!
高野公彦さんの準特選に入りました!
しかも一番最初(?)!
選後感想は以下の通り。

「読み聞かせボランティア」をしている人の歌である。
相手は幼稚園児であろうか。
読み聞かせという仕事の楽しさや苦労話が面白く語られており、
仕事に対する情熱が一連ににじみ出ている。
三首目は、自分が泣きそうになるのでセリフは声に出さず記憶した、という歌である。

そう、そうなんです。その通りなんです。
きちんと読んでいただいて、ありがとうございます。

・・・でもなぜか、心のどこかに引っかかるものがある。
歌の完成度と評価との誤差、かな。
ま、そういうことがわかる程度には上達したってことか。
可愛くないけど。
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by minorimay | 2006-08-27 22:05 | 短歌研究詠草

2006年7月号

植えらるる種ひとつぶの未来図は神、否、我の手の中にあり
草刈り機の濁音ののちベランダになにを運ばむ 川わたる風
すがるべきものにすがれる朝顔の蔓をつかのまみつめおりたり ★
間引きせし土の間(あい)より匂いたつシロツメクサのなつかしき日々
眼下はるかに緋色の犬のとぼとぼと夏まだあさき道をゆくらむ

★印が掲載された歌です。

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7~9月号は高野公彦さんの選。

高野さんはリアリティを重視するひと、という印象がある。
今月の私の歌にはそれが足りなかったなぁと反省。
どうも最近、適当に(こらこら)感覚だけで(おいおい)歌を作る傾向があって
こんなことを続けていてはいつかダメになるという危機感もあった。

さて、ゆっくり考えましょう。
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by minorimay | 2006-08-27 21:53 | 短歌研究詠草

2006年6月号

芳名帳に名を書き込めば海のこころ籠れる海苔を手渡されたり ★
人生に泣いていい日はすくなくて春まだあさき椅子のつめたさ ★
ましろなるカサブランカにつつまれておだやかに笑む 否、もうほほ笑まぬ ★
波がくるたびに崩れる砂の城みたいなひとのさよならを聞く ★
ユキヤナギに手招かれてもゆかぬやうつたへわすれた半身の月 ★

★印が掲載された歌です。

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やったー!!
馬場あき子さん選で準特選にはいりました。
選後感想は以下の通り。

第一首の場面はよくわからない。
第二首以下には失意の相聞歌であるが知的なさわやかさが魅力だ。
第二首の「人生に泣いていい日はすくな」いという認識も面白く、
第三首の結句の逆転も鮮やか。
第四首が最もよく、対象の把握と比喩に独自の個性がある。

う、うれしいです。(ノ_・、) シクシク
でも・・・。

実は昨年も馬場さんの選のときにあった話なのですが、
だいぶ選者の「直し」がはいっているんです。
直されることにそんなに嫌悪感はありませんが
「直された歌で選にいれてもらった」ことがちょっと残念です。

感想で「相聞歌」と書いていただきましたが、
下の子のクラスメートのお父さんが亡くなった時のことを歌にした
5首連作です。
私も子も現実を直視できないほどつらいさみしい経験で、
でも愛するひとを失くした家族はもっともっと
想像もつかないほどの哀しみの中にいるのだろうと、
それを一生懸命思いながらつくりました。

ついでに元の5首を書いておきます。
もちろん直された歌の方がいいのは百も承知ですが。
原作(?)は以下の通り。

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芳名帳に名を書き込めばたましいの重さの海苔を手渡されおり
人生に泣いていい日はすくなくて春まだあさき椅子のつめたさ
ましろなるカサブランカにつつまれておだやかに笑む 否、もう笑まぬ
波がくるたびに崩れる砂の城みたいなひとのさよならを聞く
ユキヤナギに手招かれてもゆかぬようつたえわすれた半身の月
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by minorimay | 2006-05-22 19:22 | 短歌研究詠草

2006年5月号

距離わずか2kmといえど荷造りと荷解きの手間はおなじなりけり
午後の陽の乱反射するリビングに身をよせあえる手引き、保証書
指先をまちわびている食洗機のスタートボタンそっと押しおり ★
小夜ひとり床をみがけば暮らすとは許すことだとエアコンのいう
おぼえなき色の朝日にそまりたる「ここ」への記憶たどるつかのま

★印が掲載された歌です。

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先月に引き続き、馬場あき子さんの選。

馬場あき子さんには昨年、特選に選んでいただいているだけに
今年も頑張らなくては!との思いが強く、
自分なりにリキをいれて作った歌を送ったつもりだったのだが・・・。
結果はご覧のとおり。(^_^;)

今年1月の引越しを題材にした連作だが、
あらためてこうして読み直してみると
どうも、弱い。
どの歌も漠然としていて、何が伝えたいのかがわからない。

ふーん、そうか。
送る前に第三者の目でこんなふうに読めるといいのに。


・・・「いいのに」ではなく、読めるようになろう。(汗)
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by minorimay | 2006-05-22 19:11 | 短歌研究詠草

2006年4月号

水彩画水菜水引き水ふうせん みずをもつものなべて儚し ★
いくたびも玻璃を鳴らせる冬風のはなしばかりをする夕餉時 ★
桜めく乳白色の湯のなかに肌の色味をたしかめており
ささやかないじめのごとく拾われぬまま絨毯に落ちている螺旋
言わぬ夢言えぬ昨日のふえすぎて大き物置き買いにゆかむか ★

★印が掲載された歌です。

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4~6月号は馬場あき子さんの選。

投稿する月の選者はあらかじめ決まっているので
一応、私なりには傾向と対策は練っているつもり。
・・・なのだが、これがなかなか。
小賢しいことを考える前に、
「どんな選者にも選んでもらえるようないい歌をつくる」ことを
志さないといけない・・・のでしょう。

がんばります・・・。
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by minorimay | 2006-04-01 23:06 | 短歌研究詠草

2006年3月号

おちてゆく飛行機雲をゆびさして「右上がり」とう声のやさしさ ★
新聞の連載小説に焦がれつつ待つ身もときによしと思いぬ ★
その指で<刹那>を<永久(とわ)>と書きなおし空にはいまもあやふやな月
温度差のあればあるほど涙する窓のしずくを語りおりたり ★
なぜこんなにうすいのだろう川沿いの道にのびゆく冬のゆうぐれ ★

★印が掲載された歌です。


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この月まで岡井先生の選。
たぶん先月いただいた評のように
テーマがはっきり提示されていないのがいけないのだろうな、と反省。

個人的には1首目がとてもお気に入りです。
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by minorimay | 2006-04-01 23:02 | 短歌研究詠草

2006年2月号

雪空に黙せばいまだエラ呼吸できぬさかなの尾ひれゆれおり ★
いつも誰かとすれちがう くれないの風呂敷包み闇に残りぬ ★
「死」の文字の川面にうすくうかぶとき降りだす雨のちからをおもう ★
わたくしにつながるものが空の輪をはずれてのちにおちてゆく音 ★
世渡りの上手下手などさしもなし月にも山河ありてうつくし ★

【岡井隆・選 準特選】
さかなとか風呂敷包みとか雨とか「空の輪」とか「月」「山河」とか、
それぞれにふかい意味をもつたシンボリックなものやことを
いろいろに使つた、才気ある歌だが、五首としてみると、
ややまとまりとか連作のまとまりに欠けるのが惜しい。


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この月の選者も岡井先生。
準特選に採っていただきました。

が、採ってはいただいたものの、
かなり苦し紛れの評文がついていて・・・。
いや、なんというか、ひたすら申し訳ないです・・・。(汗)
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by minorimay | 2006-04-01 22:57 | 短歌研究詠草

2006年1月号

右回り左回りの鴨のいてこれでよかれと思う真冬日 ★
土地訛りつかえばなびく野良猫と我は故郷を分かつ者なり
距離感の狂いはじめた週末に咳止まぬまま家へもどりぬ ★
診察券書き直したし 切りつけるメスが口よりこぼれぬように ★
ひそやかにサッシの窓を開けぬればふいに鴨語で呼ばるる夜更け ★

★印が掲載された歌です。


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1月号の選者は岡井隆先生。
某歌会でご一緒させていただいていたので
毎回、先生にはお気遣いいただいています。

文句なく採っていただけるような歌をつくらねば、とおもう今日この頃。
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by minorimay | 2006-04-01 22:50 | 短歌研究詠草